PTA退会を決めるまで③ PTA非会員の子供に対するペナルティ
【前回までのあらすじ】
PTA会長に手紙を出したら校長先生から電話が来たゾ!
というわけで、以下、校長先生とのやりとりになります。
校長「PTA会長から、あなたがPTAを辞めたいと言っていると聞きました。まず理由を聞かせてもらえますか?」
私は一から説明しました。
委員会の中で強制的に本部役員候補くじをひかされ、当たったこと。
PTA会長に「あくまで候補だから。過去には断った人もいるから。」と言われたので候補となることを承諾したこと。
こちらの意思確認もなく知らぬ間に本部役員に決定していたこと。
仕事や持病などにより、本部役員の作業は全うできないこと。
本部役員を強制するならPTAを退会したいこと。
本部役員以外の委員活動は参加できるので、できればPTA退会まではしたくないこと。
なるべく感情的にならないよう、丁寧に話しました。
事情を話せばきっとわかってもらえるだろうという期待がありました。
が、甘かった・・・!!
校長は私の希望する「本部役員を断ったうえでPTAを継続する」案には一切触れずに、PTAと学校側の見解を話し始めました。
校長「PTA会長はね、もうあなたにはPTAを辞めてもらっていいと言ってるんですよ。でも僕はあなたに辞めてほしくない。なぜならね、PTAを退会するとお子さんが可哀想なことになるんですよ。」
出た。子供が可哀想。
これ、あれでしょう。インターネットで見かける「コサージュ問題」や「まんじゅうプロブレム」。
インターネットで他校の事例を予習しておいたので何を言われても想定内!
校長「PTAを退会した場合の、あなたやあなたの子供に対する制約を示した書面をPTA会長から受け取っているのでね。読み上げますよ。」
校長「まず、PTA非会員であるあなたは、一部の授業で実施される親子授業(家庭科の親子料理授業など)に参加できなくなります。お子さんは一人で参加しなければいけません。」
ほうほう。別にいいですよ。
校長「遠足など先生だけでは全生徒に対応が難しい行事について、学校が保護者にお手伝いを募集する際、あなたは応募できなくなります。」
今まで一度も手伝ったことがありません。ノーダメージ。
校長「学校で配布されるPTAの配布物がお子さんだけ配布されないことになります。プリントや広報の他、卒業式のコサージュ、賞状筒、紅白饅頭など、あなたのお子さん一人だけ受け取れません。」
出ました!コサージュ、饅頭!
テンプレですねもう。
学校で、先生が、PTA会員の子にだけ何かを配布するという事は問題があるはずなのですが、反論するのも面倒なので「そうですか」でサラッと流しました。
うちの子一人だけみんなと違うというのは可哀想だけど、饅頭や賞状筒なんかよりも大事なものがあるんです。
働いてお金を稼ぐこと。家族で貴重な時間を共有すること。
たかが饅頭ごときに阻害されていいはずがない。
と、ここまでは想定通り。
余裕を持って話を聞いていた私ですが、校長の次の一手は想定外でした。
校長「外部講師を招いた体育行事に、お子さんは参加できません。」
私「え!?子供が体育の授業から締め出されるんですか!?」
校長「いいえ、”授業”ではなく”事業”です。先日、体操のプロ選手を招いた体育行事がありましたよね。そういった、PTAが外部講師を手配するイベントに、お子さんは参加ができなくなります。」
私「いやいや、あの体育行事って、平日に、時間割の一コマを使って、体育館で実施していた行事じゃないですか。授業時間に実施される学校行事から生徒を排除してもいいんですか?」
校長「 "授業"ではなく"事業"なので、問題ありません。」
えぇ・・・PTA非会員の子供というだけで、時間割の一コマ丸ごと学校行事に参加できずに自習になる・・・そんなことが許されるのでしょうか?
ちなみに言い忘れましたが、子供の学校はごく普通の公立小学校です。
校長の言い分をまとめると、
・PTAが外部講師を招く行事は "授業"ではなく"事業"
・"事業"ならばPTA非会員の子供を除外しても問題はない
だそうで。
想定外の方向から飛んできた変化球をくらい混乱する私。
「その方針が問題ないかどうか、教育委員会に質問させていただきます」と答えるので精いっぱいでした。
一通りPTA退会のペナルティを説明した後、校長は続けました。
校長「僕は、あなたの子供にこんな可哀想な思いをさせたくないんです。だから考え直しませんか?」
子供に可哀想な思いをさせようとしている側の人が、「可哀想な思いをさせたくない」って・・・
私「なんと言われましても、PTA本部役員は引き受けられませんし、それを強制するなら退会します。」
校長「本部役員を引き受けたらいいじゃないですか。どうしてもできない作業は”すみません”と言って、他の方にお任せすれば。やれる範囲でやればいいと僕は思うんですよ。」
私「校長はそう思われても、私の作業を肩代わりする他の本部役員の方はそうは思わないでしょう。それに私、忙しいので、できる作業が殆どありませんよ。仕事は残業があることもあるので夜の会議も出席できません。」
校長「今こうやって私と電話できているじゃないですか?」
私「・・・」
この時間は子供と夕飯をとるために、日中がむしゃらに働いて定時退社して確保した貴重な時間。
それをその辺に転がっている石ころの如く「あるじゃない」って・・・。
時間への価値観の違いなのか、校長にとって保護者の時間なんて石ころ同然なのか。
悶々とする私に校長は続けました。
校長「あなた、今回PTAを退会することを、あなたの夫や夫のお父様に相談しましたか?」
私「夫は当事者なので相談していますし、私の方針で問題ないと言っています。夫の父には相談していませんが、今回の話に関係ありますか?」
校長「関係あると思いますよ。あなたのお義父さんの立場に関わることです。お義父さん、よくうちの校下の公民館に出入りされてるでしょう?」
私「はい、それが何か?」
校長「こういったね、あなたの悪い噂って、公民館の人たちにもすぐに広まりますよ。そうしたら、あなたのお義父さんも悪口を言われることになって、公民館に出入りしにくくなるんじゃないかなぁ?だからよく相談したほうがいいですよ。」
まるで犯罪者のような扱いですね・・・。
「PTA退会」は極悪非道なことで、その人だけではなく親族の立場をも貶めることになるとは・・・恐ろしい・・・。
気を取り直して、話を私の主張に戻します。
私「本部役員を引き受けない、という事はなぜ許されないのですか?」
校長「くじ引きで当たった他の人は引き受けてくださっているんです。例外を認めるわけにはいきません。」
うーん同調圧力。
つまるところ、「他の保護者が真似すると困るので引き受けなさい」ということなのでしょう。
こうして、「本部役員を引き受けさせたい校長」と「本部役員を引き受けない保護者」の話は平行線のまま。
通話時間は40分を過ぎて夜8時をまわっています。
校長「時間も時間なので今日はもう終わりにしますが、また来週電話しますから、それまでに考え直しておいて下さい。」
私「何度聞かれても無理です。本部役員はできません。」
校長「あのね、あなたね、あまり学校を困らせないでくださいね。」
通話終了。
冷めきった夕飯の残りを見つめて、深いため息をつく私。
「母ちゃん・・・大丈夫?」
とっくに夕飯を終えた息子が、リビングから不安そうにこちらを伺っていました。
そりゃあ自分の母親が、学校と、穏やかではない口調で長時間話し合いをしていたのだから、さぞかし不安だったことでしょう。
「ごめん大丈夫!何も問題ないよ!」
乾いた白飯を口に詰め込みながら、私はようやくPTA退会を決意しました。
こんないざこざに時間や神経を浪費することが、自分や子供にとって良いはずがない。
さっさと退会届を出してしまおう!